先週の相場振り返り
日本における仮想通貨交換業者問題の最中、今度はBitfinex社のTether(テザー)に関するドルペッグトークンが問題視された。
Bloombergが報じていたのだが、CFTC(米商品先物取引委員会)がBitfinex社に対して召喚状を送っていたのだ。
元々、昨年の焼きまわし記事としてBloombergに紹介をされたようだが、あまりにもタイミングが悪い。
仮想通貨市場に追い打ちをかける展開となった。
ここで簡単にこのテザー問題にも触れておこう。
Bitfinex社の取り扱っているBTC/USDTという米ドルに模したトークンはTether社が発行している。
おおよそ、BTC/USDと連動するように作られているため、BTCからUSDTに換金した場合、課税対象にならないため、世界中で重宝されていたトークンである(日本は現在、他のコインに変えた場合、課税対象になるので日本を除く)。
世界中で非常に需要があったこのUSDTなのだが、このUSDTを自由に発行できるTether社とそれを取り扱うBitfinex社について問題視がされていた。
USDTを発行後、市場でBTCを買い付けに向かう行動が幾度か確認されているようで、これを米当局は問題視をしていたようだ。
つまり、自分のところで発行したUSDT(価値があるかどうか不明のトークン)でBTCを自由に買い支えるという錬金術が成立してしまうため、明らかに市場操作ということになる。
それで召喚状ということとなった。
BTC/USDTはビットコイン価格に非常に影響力を持つことになったことからも市場操作の疑いもかけられても無理もない。
さらに、このトークンは米ドルと同じ力を持ってしまっている現状、FRBの権限を仮想通貨市場限定で使えることになってしまう。
この状況を見過ごせば、米ドルモドキが仮想通貨市場にあふれてしまうことになる。
こういった背景に懸念を示し始めているのが米国である。
個人的な予想だが、いずれUSDTは廃止に追い込まれるのではないかとも想定しており、
そうともなれば、Bitfinex社がUSDT分の米ドル担保があるのか、それ相応に値する資産を時価総額分保有しているかがまた問題となりそうだ。
この問題は根深いかもしれない。
今週の見通し
さて、今週の見通しだが、前述通り、BTCは先行きがちょっと怪しいかもしれない。
追加ポジションは控えめに、またはカットしてしまっても良いように思える。
そんな中でライトコインが少し変わった値動きをしている。
資金の投資先選びが活発になるであろう、この相場だが、今週はライトコインとイーサリアムに注目したい。その理由を説明していこう。
ビットコイン
<BTC/円 レバレッジ市場 価格帯予想 2月5日 ~ 2月11日>
想定レンジ:60万円 ~ 120万円
コアレンジ:80万円 ~ 100万円
■ 出所 BITPoint BTC/円(現物)
ビットコインの日足である。
まだ全くボトムを脱した値動きになっておらず、1週間前からの下落は新規の流れとさえ感じてしまうほどの下落っぷりだ。
出来高が再び増加していることに懸念を示している。中長期ポジションまで流れ出しているため、個人的には悲観している。
特に日曜日は100万円前後で保ってほしいところだったが、それもかなわずあっけなく下落再開。かなり正念場でないかと考えている。
下落が止まる場合は80万円がキーポイントとなるだろう。
ローソク足の下髭を幾度も形成するパターンを確認したいところだ。
この値動きが出始めると一安心なのだが、80万円を割り込んでもジリジリと下値をさげるような展開なら、ダウンサイドリスクは継続だろう。
その場合ポジションをまた落とさなければならないので、個人的にもそろそろご遠慮願いたい値動きだ。
BTCは1週間ぐらい様子をみて買い場を探したいと考えている。
急落急騰が合図となるためコロコロと相場観が変わりやすい局面であり、見極めが難しい。ただ、こうした値動きがどこかで出る可能性が高いため、各自注視ししていただきたい。
イーサリアム
<ETH/円 価格帯予想 2月5日 ~ 2月11日>
想定レンジ:6万円 ~ 12万円
コアレンジ:8万円 ~ 11万円
■ 出所 BITPoint ETH/円
仮想通貨市場、最も安定的な値動きを維持しているのがこのイーサリアムになる。
先週のコラム通り、イーサリアムの比率を極端にあげてみた。
値下がりはしているものの、他のコインと比べればかなり安定的であろう。
直近高値からそれでも50%程下落しているが、リップルXRPやネムNEMのことを考えるとかなりマシではあるだろう。
BTCからイーサリアムに資金が逃避しているようにもみえる。
先週も9万円台を維持し、短い時間足の値動きも押し目も強さを感じているので仮想通貨の資金はこちらを中心に持っていたほうが安全さは向上するだろう。
もし6~8万円のあいだで推移を始めるなら是非とも買いたい水準になる。
BTCが今週前半も持ちこたえ、100万円付近にまで値を戻す展開があるのならば、ETHも9万円台で買い始めてもよいだろう。
ビットコインキャッシュ
<BCC/円 価格帯予想 2月5日 ~ 2月11日>
想定レンジ:9万円 ~ 15万円
コアレンジ:10万円 ~ 13万円
■ 出所 BITPoint BCC/円
ビットコインキャッシュはかなり軟調な展開ですすんでいる。
資本が入ってきているとは思えない、流動性が薄いマーケットとなってしまっている。あまり買いに向かいたくない形状だ。
1月上旬までは最も期待できるテクニカル形状だったが、あまりにも出来高が伸びないため、投資家自身、あまりこのコインに興味を持っていないように思える。
短期ポジションは入れなくてよいぐらいで考えている。
小生も先週後半に短期ポジションは全てイーサリアムに移し終えている。
正直とっつきにくい形状がいつまでつづくかわからないので様子見姿勢を堅持したい。
ライトコイン
<LTC/円 価格帯予想 2月5日 ~ 2月11日>
想定レンジ:12,000円 ~ 25,000円
コアレンジ:14,000円 ~ 20,000円
■ 出所 BITPoint LTC/円
4つのコインの中で最も勢いが戻ってきているのがライトコインかもしれない。
こちらは1時間足だが、日曜日から少し不可解な値動きをするようになってきている。
戻りが大きく、上昇率は時価総額の大きいコインの中でトップクラスであった。
おそらく何か好材料があるのではないかと個人的に考えている。
その証拠に値動きが荒いというか、何か知っている値動きを見せた証拠がこのローソク足で、形跡がある。
1時間足になるのだが、四角で囲った足に注目してい頂きたい。
一定の時間をおいて買い上げてきている様子が見て取れる。
素人っぽい買い方というか、荒っぽいというか・・・何かを知った筋が買い始めているようにも思える。
この値動きは今後も注目していきたい。
今週前半も続くようなら、便乗すべきではないだろうか。
何かあるはずだ。15,000円をもし割り込む展開がやってくるなら、個人的にも強めに買いで入ってみようと考えている。
今週はイーサリアムとライトコイン中心に。ビットコインとビットコインキャッシュはしばし様子見で行きたいと考えている。
まだ軟調な相場は続くとも考えられるので資金管理には十分お気をつけ頂きたい。
■執筆者プロフィール
ひろぴー(@hiropi_fx)
FX・仮想通貨トレーダー兼コラムニスト。
サラリーマントレーダーとして、第一回「ザイFX!杯 FXリアルトレード対決!」で優勝するなど、数多くの実績を残す。
現在はラジオ日経で投資番組のパーソナリティを務める傍ら、「ザイFX!」や「みんなの株式」など、大手ポータルサイトでの執筆活動にも精力的に取り組んでいる。
2015年からは仮想通貨の可能性に注目し、ビットコイントレードを開始。
香港系プライベートファンドにて運用も担当している。
仮想通貨Webサイト:Bitcoin-FXも運営しており、仮想通貨情報発信も行っている。
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